シジュウカラの社会note

会計事務所勤務。税理士試験簿記論・財務諸表論・国税徴収法合格。税法免除大学院に進学中。元農業新聞記者。 本ブログでは、社会人として税理士資格取得を目指す過程や大学院での学び直し、会計・税務の実務に関するリアルな体験を発信しています。 仕事・育児・学業を両立しながら学ぶ中で感じたことや、これから社会人で資格取得や大学院進学を考えている方の参考になる情報を届けていきます。

税法大学院の修論テーマの決め方|「問題の所在」と判例の探し方を初心者向けに解説

この記事では、税法大学院で多くの人がつまずく「修論テーマの決め方」と「問題の所在の見つけ方」、さらに判例の探し方を初心者向けに解説します。実際にゼミで詰められた経験をもとに、どこがダメでどう直せばいいのかを具体的に整理しました。

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税法大学院の授業が本格的に始まり、いよいよ租税法の基礎を学び始めました。正直に言うと、想像していた以上に“難しい世界”に足を踏み入れている感覚があります。

これまでの学びと決定的に違うのは、「知識」だけでは太刀打ちできないという点です。むしろ、知識の前提として「概念」と「言葉」を理解し、それを使いこなす力が求められます。

たとえば、授業の中で頻出する「水平的公平」「垂直的公平」「租税法律主義」といった概念。言葉としてはなんとなく理解できても、それを実際に答案やレポートで使おうとすると、途端に手が止まります。

文章にできないのです。

これは単なる語彙の問題ではなく、「思考の型」が身についていないことが原因だと感じています。税法の世界では、結論よりも「なぜそうなるのか」を論理的に説明することが重視されます。しかし、その論理を組み立てるための“部品”である概念がまだ自分の中で整理されていない。これが、初期段階の大きな壁です。

ジャーナリスト思考とのズレ

さらに苦戦しているのが、修士論文のテーマ設定です。

私はもともとジャーナリストとしてのバックグラウンドがあるため、どうしても「社会で起きていること」からテーマを考えようとしてしまいます。たとえば、ニュースで見た「給与が振り込まれた口座の差押えをめぐる訴訟」。これを見て、「差押えの範囲はどこまで許されるのか」というテーマを考えました。

また、子ども食堂の広がりを見て、「社会福祉法人や寺院・教会などの収益事業との関係性」という切り口も考えました。

しかし、ゼミでの反応は厳しいものでした。

「それで、何が問題なの?」
「判例はあるの?」

この一言で、自分の考えの甘さを突きつけられました。

「問題の所在」がないという致命的な欠点

税法の論文では、「問題の所在」がすべての出発点になります。

 

問題の所在=法的に争いがあるポイント

 

つまり、「どこに法的な争点があるのか」「既存の解釈や判例と何がズレているのか」を明確にしなければならない。

しかし、私の出したテーマは、言ってしまえば「社会的に気になる話題」でしかありませんでした。

問題提起ではなく、単なる関心。

この違いに気づかされた瞬間、ゼミ生の前でかなり恥ずかしい思いをしました。ですが、同時に「ここからがスタートだ」とも感じています。

判例ベースで考えるという発想転換

教授から繰り返し言われたのは、「判例を探すこと」。

 

探し方のポイント

  • 「判例 データベース」
  • 「LEX/DB」
  • 「TKC」

ここからキーワード検索を掛けていきます

 

税法の研究は、条文だけでなく、判例の積み重ねによって具体的な解釈が形成されています。つまり、テーマを考える際も、「判例があるか」「その判例に対してどのような評価や問題があるか」を軸にする必要があります。

これは、これまでの自分の思考とはまったく逆のアプローチです。

これからは、データベースを活用して判例を探し、そこからテーマを組み立てていく作業にシフトしていきます。いわば、「答えのあるところから問いを作る」という感覚です。

 

◆ポイント

① 判例を複数見つける
② 争点を整理する
③ 学説や他判例とズレを探す

 

 

マイクロ法人という現実的テーマへ

そうした中で、今後の軸として考えているのが「マイクロ法人」です。

実務の現場でもよく見かけるテーマであり、個人と法人の使い分け、所得分散、社会保険との関係など、多くの論点が含まれています。

そして何より、自分自身が「疑問を持っている」という点が重要です。

・なぜこのスキームは成り立つのか
・どこまでが適法で、どこからが問題となるのか
・租税回避との線引きはどこにあるのか

こうした疑問を出発点に、判例や学説を当てはめていくことで、ようやく“研究”として成立するのだと思います。

大学院進学のタイミングは正解だった

今回、強く実感したのは「税理士試験と並行していなくて本当によかった」ということです。

授業の予習・復習、判例調査、論文テーマの検討…。想像以上にやることが多く、これを試験勉強と同時にこなすのは現実的ではなかったと思います。

税理士試験で基礎的な知識をある程度固めてから大学院に進んだことで、「理解する余力」が確保できている。この順番は間違っていなかったと感じています。

初心者としての現在地

いまの自分は、間違いなく「本当の初心者」です。

言葉が使えない
論理が組み立てられない
問題の所在が見えない

ですが、逆に言えば、ここからすべてを積み上げていける段階でもあります。

まずは、概念を正確に理解し、それを使って短い文章でもいいから論理を組み立てる。そして、判例をベースに「問い」を立てる練習を重ねていく。

地味ですが、このプロセスを避けては通れません。

まとめ|「考え方」を学ぶということ

税法の学びは、「知識を増やすこと」ではなく「考え方を変えること」だと感じています。

言葉を理解し
論理を組み立て
問題を発見する

この一連のプロセスを繰り返すことで、ようやくスタートラインに立てるのでしょう。

まだ始まったばかりですが、この“苦しさ”こそが成長の証だと信じて、少しずつ前に進んでいきます。

…とはいえ、正直なところ。

これを試験と並行していたら、本当に大変なことになっていました(笑)