シジュウカラの社会note

会計事務所勤務。税理士試験簿記論・財務諸表論・国税徴収法合格。税法免除大学院に進学中。元農業新聞記者。 本ブログでは、社会人として税理士資格取得を目指す過程や大学院での学び直し、会計・税務の実務に関するリアルな体験を発信しています。 仕事・育児・学業を両立しながら学ぶ中で感じたことや、これから社会人で資格取得や大学院進学を考えている方の参考になる情報を届けていきます。

「あと一歩」が届かないときに必要なのは、発展ではなく“基礎”だった――固定資産税受験相談に付き添って

税理士試験や資格試験の勉強をしていると、直前期になるほど不安になります。

「この勉強法で本当にいいのだろうか」
「もっと難しい問題を解かなければいけないのではないか」
「他の受験生はもっと進んでいるのではないか」

私自身、税理士試験を受験していたとき、何度もそう感じました。

先日、同僚で固定資産税を受験予定の方からご相談を受けました。

現在、予備校にも通われていて、真面目に勉強を継続されている方です。しかし、直前期が近づくにつれ、「このままで本当に合格できるのか」と強い不安を感じておられました。

そこで、以前から受験指導で定評のある 柴山政行 先生をご紹介し、私も一緒に受験コンサルに付き添わせていただきました。

その場で印象的だったのは、

「あと一歩届かない人ほど、発展論点ではなく基礎を徹底すべき」

というお話でした。

これは固定資産税に限らず、税理士試験全般、さらには大学院での学び直しや実務にも通じる話だと感じています。

「あと一歩足りない人」がやりがちなこと

不安になると、人はつい“難しいこと”に逃げたくなります。

・難問を解く
・最新論点を追う
・マニアックな判例を読む
・予備校の上級問題に手を出す

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

しかし、実際には「基礎が曖昧なまま発展に進んでいる」ケースが非常に多いのです。

受験生同士で話していると、難しい論点については語れるのに、基本用語の説明になると急に言葉に詰まることがあります。

たとえば固定資産税なら、

「土地とは何か?」

と聞かれたとき、条文や定義を踏まえて説明できるでしょうか。

あるいは国税徴収法なら、

「差押えの要件は?」

と聞かれたとき、基本的な流れをすぐに説明できるでしょうか。

こういう“当たり前のこと”ほど、意外と抜け落ちている。

そして実は、試験委員はそこを見ているのだと思います。

「わかる」と「説明できる」は違う

今回のお話の中で特に印象に残ったのが、

「理解しているつもり」と「説明できる」は全く違う

という点でした。

テキストを読めば「見たことがある」状態にはなります。

問題演習をしていれば、「なんとなく解ける」状態にもなります。

しかし、本当に理解している人は、自分の言葉で説明できます。

これは税法大学院でもまったく同じです。

ゼミで先生から質問されたとき、

「それって結局どういう意味?」
「なぜそう解釈するの?」

と聞かれた瞬間、曖昧な理解はすぐに見抜かれます。

逆に、基礎が固まっている人は強い。

難しい学説や判例に触れても、土台が崩れないからです。

基礎とは「暗記」だけではない

ここで誤解しやすいのですが、基礎を固めるというのは単なる丸暗記ではありません。

もちろん、一定の暗記は必要です。

しかし本当に重要なのは、

「なぜそうなっているのか」
「制度趣旨は何か」

まで理解することです。

たとえば国税徴収法の差押え。

単に要件を暗記するだけでなく、

「なぜ差押えという制度が必要なのか」
「差押えの前提となる手続きはなんなのか」など

という背景まで理解すると、知識が立体的になります。

すると、応用問題でも崩れにくくなる。

これは税法の学習全般に共通している気がします。

基礎を固めるには「アウトプット」が必要

そして今回、柴山先生が特に強調されていたのが、

「アウトプット前提で基礎を整理すること」

でした。

今回の固定資産税の勉強法として提案されていたのは、

テキスト1冊、あるいは理論集1冊をベースにして、自分で柱立てを考えながらルーズリーフにまとめる

という方法です。

たとえば、

・土地
・家屋
・償却資産
・評価
・非課税
・納税義務者

など、テーマごとに5~10程度の柱を作っていく。

そして最終的には、

「受験当日の朝に10分で全体を見返せる状態」

まで圧縮していく。

これは単なる“まとめノート作り”ではありません。

実際には、

・どこが重要なのか
・何を削るのか
・どう整理すれば説明しやすいのか

を考える必要があります。

つまり、まとめている時点ですでに勉強になっているのです。

取捨選択の力が鍛えられ、
論点を構造的に理解する力がつき、
結果として応用力にもつながっていく。

これは非常によくわかります。

私自身も、最後は「薄いノート」を回していた

実は私自身も、受験時代は似たことをしていました。

直前期になるにつれて、見る教材をどんどん減らしていったのです。

最初はテキストや理論集を広く読んでいたものが、

最後は「自分が本当に確認すべきポイントだけ」をまとめた薄いルーズリーフに集約されていく。

そして、それを何度も何度も回す。

最初は1時間かかっていた見直しも、
受験日直前には10分、
最後は5分で全体を確認できるようになったりします。

この状態になると、知識が頭の中でかなり整理されています。

「あれどこに書いてあったっけ」

ではなく、

「あの論点はこの柱の中」

と、体系で思い出せるようになるのです。

過去問演習は絶対条件

もちろん、これだけで受かるわけではありません。

過去問演習は絶対条件です。

実際に問題を解き、
時間配分を確認し、
書けない部分を洗い出し、
また基礎に戻る。

この繰り返しが必要です。

ただ、そのときも重要なのは、

「知らなかった論点が悪い」

ではなく、

「基礎理解が曖昧だったのではないか」

という視点で振り返ることなのかもしれません。

難関試験ほど、「増やさない」ことが大事

受験生は不安になると、つい教材を増やしてしまいます。

新しい問題集。
新しい予備校資料。
新しいまとめ本。

でも、難関試験ほど大切なのは、

“増やすこと”ではなく、“深めること”

なのだと思います。

テキスト1冊。
理論集1冊。
過去問。

まずはそれを徹底的に回す。

基礎を理解し、
説明できるレベルまで落とし込み、
自分の言葉で再現できるようにする。

結局、それが最後の「あと一歩」を埋める。

今回の受験相談に付き添わせていただき、改めてそう感じました。

税理士試験も、
税法大学院も、
会計事務所の実務も。

最後にものを言うのは、派手な知識より、“基礎を応用できる力”。

そしてその力は、地道なアウトプットの積み重ねでしか身につかないのだと思います。