シジュウカラの社会note

会計事務所勤務。税理士試験簿記論・財務諸表論・国税徴収法合格。税法免除大学院に進学中。元農業新聞記者。 本ブログでは、社会人として税理士資格取得を目指す過程や大学院での学び直し、会計・税務の実務に関するリアルな体験を発信しています。 仕事・育児・学業を両立しながら学ぶ中で感じたことや、これから社会人で資格取得や大学院進学を考えている方の参考になる情報を届けていきます。

AIは税理士試験の勉強に使えるのか?国税徴収法受験を通じて考えた活用法と注意点

 

近年、ChatGPTやNotebookLMなどの生成AIが急速に普及しています。

税理士試験の受験生の中にも、

「AIで勉強できるのではないか」
「理論暗記に使えないだろうか」
「レポートや論文作成にも役立つのではないか」

と考えている方は多いのではないでしょうか。

私自身、税理士試験で簿記論、財務諸表論、国税徴収法に合格し、現在は税法大学院で研究を続けています。

その立場から感じているのは、AIは非常に便利なツールである一方、使い方を間違えると学習効果を損なう可能性もあるということです。

今回は、税理士試験と大学院での学びを通じて考える「AIとの付き合い方」について書いてみたいと思います。

AIにレポートを書かせることはしていない

まず誤解のないようにお伝えしたいのですが、私は大学院のレポートや論文をAIに書かせることはしていません。

大学院で求められるのは、文章を作ることではなく、自分で考えることだからです。

判例を読み、論文を読み、学説を比較し、自分なりの問題意識を持つ。

その過程こそが研究の本質です。

仮にAIが立派な文章を書いてくれたとしても、その内容を自分が理解していなければ意味がありません。

特に税法研究では、判例や学説の微妙なニュアンスを読み取る力が求められます。

そのため、レポートの骨格や主張は必ず自分で考えるようにしています。

AIは「壁打ち相手」として優秀

一方で、AIを全く使わないわけではありません。

私が最も活用しているのは、完成した文章の論理チェックです。

例えば、

  • この主張は飛躍していないか

  • 前後のつながりは自然か

  • 読者に誤解されないか

  • 反対意見は考えられないか

といった点を確認してもらいます。

自分で書いていると、どうしても視野が狭くなります。

そんな時、第三者の視点で文章を見てくれるAIは非常に便利です。

私はAIを「代筆者」ではなく、「編集者」や「壁打ち相手」として活用しています。

税理士試験ではAIは使えるのか

では、税理士試験ではどうでしょうか。

結論から言うと、

「使える。ただし補助ツールとして」

です。

税理士試験は、知識を持っているだけでは合格できません。

本試験では、

  • 問題を読む

  • 条文や理論を思い出す

  • 限られた時間で整理する

  • 自分の言葉で書く

という作業が必要です。

AIが代わりに答案を書いてくれるわけではありません。

最終的には、自分の頭で考え、自分の手で書かなければならないのです。

国税徴収法とAIは相性が良い

私が特に相性が良いと感じるのは、国税徴収法です。

国税徴収法は、

  • 要件

  • 効果

  • 例外

  • 他制度との比較

の積み重ねで成り立っています。

例えば第二次納税義務。

単に理論を暗記するだけではなく、

「なぜその制度があるのか」
「どのような要件で成立するのか」
「他の第二次納税義務との違いは何か」

を理解する必要があります。

こうした学習はAIが得意とする分野です。

NotebookLMを一問一答マシンとして使う

最近興味を持っているのが、NotebookLMの活用です。

例えば、

  • 過去問

  • 理論集

  • 自分のまとめノート

を読み込ませる。

その上で、

「第二次納税義務についてランダムに10問出題してください」

と指示します。

すると、

「同族会社の第二次納税義務の成立要件を説明してください」

「無限責任社員の第二次納税義務との違いを説明してください」

「第二次納税義務と物的納税責任の違いを説明してください」

といった問題を作ることができます。

これは受験勉強にかなり有効だと思います。

差押えの学習にも使える

差押えの論点でも同様です。

例えば、

「差押えの要件を説明してください」

という問題だけでなく、

「督促と差押えの関係を説明してください」

「差押えできない財産にはどのようなものがありますか」

「滞納処分の流れの中で差押えはどの位置にありますか」

といった形で出題させることもできます。

国税徴収法は制度同士のつながりを理解することが重要です。

AIはこうした横断的な確認問題を大量に作ることができます。

AIは無限に口頭試問してくれる先生

私が最も魅力を感じるのはここです。

昔の私は、理論をA4用紙にまとめていました。

覚えにくい部分だけを抜き出し、通勤時にポケットへ入れて何度も見返しました。

駅まで歩きながら確認し、昼休みに確認し、帰宅中にも確認する。

それでも覚えられない理論は何度も繰り返しました。

この方法は今でも有効だと思っています。

ただ、AIには別の強みがあります。

それは、

「忘れた頃に質問してくれること」

です。

しかも何回でも。

例えば、

「第二次納税義務の成立要件を説明してください」

「差押えの要件を説明してください」

「交付要求と参加差押えの違いは何ですか」

など、無限に口頭試問をしてくれます。

これは受験生にとって非常にありがたい存在です。

ただしAIは平気で間違える

一方で注意点もあります。

AIは平気で間違えます。

存在しない判例を示すこともあります。

実在しない論文を紹介することもあります。

税法の解釈を誤ることもあります。

したがって、

「AIが言ったから正しい」

ではなく、

「本当にそうなのか」

を確認する姿勢が必要です。

税理士試験なら理論集やテキスト。

大学院なら判例や論文。

必ず一次情報に戻ることが重要です。

AI時代でも最後は自分で考える

私はAIを先生とは考えていません。

むしろ、

  • 壁打ち相手

  • 編集者

  • 問題作成係

  • 口頭試問係

です。

最終的に考えるのは自分。

理解するのも自分。

答案を書くのも自分です。

税理士試験においても大学院研究においても、最後にものを言うのは「自分の頭で考えた経験」です。

AIは非常に便利な道具です。

しかし、道具を使うのは人間です。

だからこそ、AIに任せる部分と、自分で考える部分を区別しながら活用していきたいと思っています。

特に国税徴収法のように、要件や制度趣旨を繰り返し確認する科目では、AIは優秀な「口頭試問の先生」になってくれるかもしれません。