税理士試験の直前期になると、多くの受験生は不安になる。
もっと問題を解いた方がいいのではないか。
予備校の予想問題をやるべきではないか。
理論をもう一度回した方がいいのではないか。
実際に、受からなかったときの私自身もそうだった。
簿記論、財務諸表論、国税徴収法と受験してきたが、直前期になるほど焦りが出てくる。しかし、振り返ると私が本当にやってよかったと思うことが一つある。
それは、
国税庁が公表している「出題のポイント」を読むこと
である。
実は、ここに試験委員からの重要なメッセージが隠されている。
過去問を解くだけでは足りない
私は過去問をかなり繰り返した。
多い年は20回近く見直した問題もある。
しかし、途中から気づいた。
本当に大事なのは正解を覚えることではない。
なぜこの問題が出たのか。
試験委員は何を確認したかったのか。
そこを考えることだった。
東大受験生や難関資格試験の合格者の勉強法を読むと、彼らは異常なほど過去問を研究している。25年分を何周もする人もいるようだ。
(参考)私が購入し読んで驚いた、東大理三集団の勉強法です。一読を。
しかし、ただ解いているのではない。
出題者を研究しているのである。
税理士試験も同じではないかと思った。
出題のポイントには「理解」という言葉が並ぶ
まずは全体の出題のポイントのURLを出しておく
令和7年の国税徴収法の出題のポイントを読んでみる。
第一問では、
「国税徴収法の規定に関する基本的な理解を問う問題である」
という表現が何度も出てくる。
交付要求。
参加差押え。
換価。
換価猶予。
さらに相続による納税義務の承継。
どれも、
「基本的な理解を問う」
と書かれている。
受験生が考える「基本」と、試験委員が考える「基本」は違うといえるだろう。
試験委員の「基本」と予備校の「基本」は違う
予備校では、
Aランク論点
Bランク論点
頻出論点
重要論点
という整理がされる。
もちろん非常に有用である。
私も予備校教材には大変お世話になった。
しかし、試験委員は別の視点で問題を作っているように思う。
例えば令和7年の第一問では、相続による納税義務の承継が出題された。
徴収法受験生の中には、
「相続は相続税法の話では?」
と思った人もいたのではないだろうか。
しかし、試験委員はこれを
基本的な理解
として位置付けている。
つまり試験委員の頭の中では、
相続があった場合の差押え
納税義務の承継
相続人の責任範囲
といった内容は、
税理士として当然理解していてほしい基本事項なのである。
ここに受験生とのズレが生まれる。
そして時には予備校とのズレも生まれる。
第二問は「応用問題」だった
さらに興味深いのは第二問である。
こちらは明確に、
「具体的な設例における徴収方法やその範囲を問う応用問題である」
と書かれている。
ここだけ読むと、
難問が出たのだろうと思う。
しかし実際に内容を見ると違う。
保険金請求権への差押え。
差押禁止財産。
退職手当等の差押禁止。
第二次納税義務。
どれもテキストに載っている基本論点である。
では何が応用なのか。
それは、
具体的事例への当てはめ
である。
試験委員は、
難しい知識を知っているかではなく、
理解した条文を実際の事例で使えるかを見ているのである。
税理士の仕事も同じ
これは税理士の実務にも通じる。
顧客は、
「徴収法76条4項を説明してください」
とは言わない。
代わりに、
「退職金は差し押さえられるんですか?」
と聞いてくる。
そのとき必要なのは、
条文暗記ではない。
制度理解である。
そして具体的な事例への当てはめである。
試験委員が応用問題で見ているのも、まさにそこだと思う。
出題のポイントを読むと勉強の方向が変わる
私が出題のポイントを読むようになって変わったことがある。
問題が解けないとき、
以前は
「問題演習が足りない」
と思っていた。
しかし出題のポイントを読むと、
試験委員は何度も
「理解」
という言葉を使っている。
すると発想が変わる。
問題が解けない原因は、
演習不足ではなく、
理解不足かもしれない。
そう考えるようになった。
だから私は直前期に、過去問を演習し、テキストや理論集に戻った。
制度趣旨を確認した。
結果として、その時間は無駄ではなかったと思っている。
総合問題で疲れたら出題のポイントを読もう
直前期は総合問題との戦いになる。
しかし、総合問題ばかり解いていると、
いつの間にか目的が
「点数を取ること」
になってしまう。
そんなときこそ、
国税庁の出題のポイントを読んでほしい。
そこには、
試験委員が何を理解してほしいのか。
税理士に何を求めているのか。
どこを基本と考えているのか。
ヒントがたくさん書かれている。
過去問は単なる練習問題ではない。
出題のポイントは単なる解説でもない。
それは、
試験委員から受験生へのメッセージ
である。
私は国税徴収法の学習を通じて、そのことを強く感じた。
私は過去問演習研究と同時に少なくとも3年分は読みこんでいました。
直前期、不安になったら問題集を増やす前に一度出題のポイントを読んでみてほしい。
そこには、本当に仕上げるべき「基本」が書かれている。
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